【10月11日 AFP】ジャグリングの練習をすると脳の神経組織の「白質(white matter)」に変化が生まれるとの研究結果が11日、英科学誌「ネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)」(電子版)に掲載された。

 白質は、神経細胞間の電気信号を運ぶ神経繊維の部分で、脳のさまざまな部位をつなげる役割がある。英オックスフォード大(University of Oxford)の研究チームは、ジャグリングの出来ない健康な成人48人を募集し、全員の脳を機能的磁気共鳴画像装置(fMRI)で撮影した。

 その後48人の半数に、6週間にわたってジャグリングの訓練を受けてもらい、訓練期間中は毎日30分の練習をするよう勧めた。期間終了後には24人全員が3つのボールを使う「カスケード」を少なくとも2サイクルはできるようになっていた。

 その後、48人全員の脳をfMRIで再び撮影して変化を観察したところ、ジャグリングを練習したグループは白質に重要な変化がみられたという。この研究結果は、幼少期を過ぎても脳に「可塑性」があることを示唆している。

 研究チームを率いたHeidi Johansen-Berg氏は、「いったん成人すれば脳は衰えるだけだと考える人もいるが、条件を整えれば脳の『配線』を変化させることが可能だということが示された」としている。

 実験にジャグリングを選んだのは難しい動きを覚えなければならないため、脳にはっきりとした変化が現れるからだという。実際、正確に腕や手を動かす、動きの速い物体をつかむ、視野の周辺部で物の動きを追うといった行為で使われる脳の部分の白質に変化が見られた。

「だからといって皆がジャグリングをすべきだと言っているのではありません。散歩でもクロスワードパズルでもいいですから、脳を使うようにすれば良いのです」というJohansen-Berg氏は、脳の活性化や脳神経の健康維持の方法としてジャグリングが臨床的に応用される可能性もあるだろうと指摘した。(c)AFP