【10月8日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は7日、土星を囲む太陽系最大の輪を発見したとの論文を、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表した。土星の衛星「フェーベ(Phoebe)」が放出したちりや氷によって生じたとみられるという。

 米バージニア大学(University of Virginia)の天文学者らからなるNASAの研究チームは2月、スピッツァー宇宙望遠鏡(Spitzer Space Telescope)を使ってフェーベ付近を観測し、この巨大な輪を発見した。フェーベは直径わずか214キロで、土星の衛星としては最も外側にある。

 これまで太陽系最大の輪は、太陽系最大の惑星である木星の「ゴサマー環」や土星の「Eリング」とされていた。今回発見されたフェーベの輪はこれら2つの輪に比べてはるかに密度が薄く、惑星間の残がい物や粒子がフェーベに衝突した際に削り取った岩石のちりなどによって構成されているとみられる。

 チームは「もし輪を見ることができたら、満月2つ分の幅になるだろう」とコメントしている。

 今回発見された輪によって、土星の衛星「イアペトス(Iapetus)」に関する謎も解明される可能性があるという。イアペトスは明るい部分と暗い部分に表面がはっきり分かれているが、研究チームは新たに発見された輪のちりがイアペトスにらせん状に降下し、イアペトスの片面を厚さ数メートルにわたって覆っているのではないかと考えている。(c)AFP