【10月3日 AFP】ロンドン(London)の夕刊紙イブニング・スタンダード(Evening Standard)は2日、無料紙に移行する計画を発表した。1月に同紙を買収した旧ソ連の国家保安委員会(KGB)の元スパイの大富豪、アレクサンドル・レベジェフ(Alexander Lebedev)氏による大胆な改革により、1827年から182年続いた有料紙としての歴史に幕を閉じることになった。

 発表によれば1部50ペンス(約70円)で販売されていたスタンダード紙は12日から無料になり、発行部数は現在の25万部から60万部に引き上げられる。引き続き高品質のニュースを提供し続けると強調している。

 深刻な景気後退と広告収入の減少により、多くのメディアが戦略の変更を強いられている。

 メディア評論家ロイ・グリーンスレード(Roy Greenslade)氏は、高級朝刊紙ガーディアン(Guardian)のウェブサイトで、イブニング・スタンダード紙の無料化は以前にも検討されたことがあるが高級紙としての評判を失う懸念から見送られていたとの経緯を説明し、「大胆な動きで、リスクがないわけではない」と指摘。さらに「『本物』の新聞が無料で手に入ることに、人びとがどのように反応するか実に興味深い」と論評した。

 さらに、何が起ころうとも、「新聞が革命的な変化の時を迎えていることを示すできごとの1つで、嘆いていても仕方がない。良質なジャーナリズムを社会に提供しようとするならば、われわれは変わらなければならない」と述べた。同氏はイブニング・スタンダード紙で毎週、メディアについてのコラムを執筆している。(c)AFP/Alice Ritchie