【9月27日 AFP】(一部更新、写真追加)フィリピン各地で台風16号「ケッツァーナ(Ketsana)」による大規模な洪水が発生し、首都マニラ(Manila)は過去数十年で最悪となる水害に見舞われた。現地の報道によると27日午前までに少なくとも51人が死亡し、28万人が避難した。

 マニラとその周辺は26日、9時間にわたって豪雨に襲われ、マニラ市内の約80%が浸水した。政府によると、マニラではこの9時間で1か月間の平均降水量を超える410.6ミリの雨が降り、1967年7月に記録した1日の降水量の記録、334ミリを更新した。

 現地のGMAテレビがマニラの東にあるリサール(Rizal)州の知事の話として伝えたところによると、同州では市街地全体が浸水し、少なくとも40人が死亡し、多数の行方不明者が出ている。

 大勢の人が建物の屋根に逃れ携帯電話で救助を求めるなか、政府はマニラと25の州に非常事態を宣言した。グロリア・アロヨ(Gloria Arroyo)大統領は住民に平静を保ち、当局の指示に従うよう呼びかけた。

 民間防衛当局は増水のため92か所の避難所に合計4万1000人以上が避難したと発表した。増水した水が6メートルの高さにまで達した地区もあるという。軍と民間防衛当局は逃げ遅れた住民の救助に全力を挙げているが、洪水によって道路で動けなくなった車両のため、現場への到着が困難になっている。当局は屋根に取り残された人々にラジオで、無理に移動しようとせず救助を待つよう呼びかけた。

 気象台によると、台風16号は日本時間26日午前11時ごろルソン(Luzon)島のインファンタ(Infanta)付近に上陸し、時速19キロで西に向かった。風速は23メートル程度で、最大風速は27メートルほどだった。

 マニラ市内の広い地域で停電した。避難する人の感電事故を防ぐため予防的に停電させた場所もある。マニラに3つある空港のうちの1つは電気系統の障害のため閉鎖され、着陸予定の航空機は別の空港に向かった。マニラ市内の少なくとも4つの病院では増水に備え患者を上の階に移動させた。下の階はその後浸水した。

 台風16号は勢力を弱めながら今後もルソン島を横断して西に進み、27日の早い時間にフィリピンを離れると予想されている。(c)AFP/Jason Gutierrez