【9月23日 AFP】米ニューヨーク(New York)の国連(UN)本部で22日、気候変動首脳会合(気候変動サミット)が開幕した。日本の鳩山由紀夫(Yukio Hatoyama)首相や中国の胡錦涛(Hu Jintao)国家主席は、気候変動問題対策により積極的に取り組んでいくことを明言したが、米国のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、温暖化問題は困難な政治的現実に直面するだろうとの厳しい見通しを示した。

 京都議定書(Kyoto Protocol)以降の温室効果ガス削減の枠組みを協議するため、12月にデンマーク・コペンハーゲン(Copenhagen)で行われる気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)の開催が迫る中、気候変動サミットには約100か国の首脳らが集まり、これまでで最大規模の会合となった。

 国連外交デビューを飾った鳩山首相は、先の衆院選のマニフェストにも掲げた、日本の温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減する意向を表明したほか、途上国支援の強化を打ち出し、先進国の中で特に目を引く結果となった。

 元米副大統領で環境保護活動家のアル・ゴア(Al Gore)氏は、鳩山首相の演説を「素晴らしい」と語った。

 胡主席は、中国が温室効果ガスの排出を削減していくことを明言した。その一方で、中国が堅調な経済成長の維持を重視していることを背景に、具体的な削減目標については言及を避け、削減量は国内総生産(GDP)を基準に決められるべきだとの見解を示した。

 就任後初の国連での演説を行ったオバマ大統領は、気候変動問題への取り組みの意思を反映して、これまでの米国の政策を大きく転換し、気候変動問題は最優先事項だと強調した。しかし、世界経済がこの数十年で最悪の景気後退から回復していることから、今後、気候変動問題への取り組みには厳しい道のりが待っていると語った。

 一方、海面水位の上昇による国土浸食危機にさらされているインド洋の島しょ国モルディブのモハメド・ナシード(Mohamed Nasheed)大統領は、「美辞麗句が終わり各国代表が去ってしまうと、共感は消え失せ、憤りも冷めてしまう。そして世界は元のまま何も変わらない」と述べ、各国はサミットが終了したら、気候変動問題などすぐに忘れてしまうだろうと悲観的な見方を示す。

「数か月後にはまた、われわれは同じ茶番をくり返すのだ」

(c)AFP/Shaun Tandon