【9月22日 AFP】1980年代に若者たちを魅了したいわゆる「レトロゲーム」を保存する博物館の設立を、「レトロゲーマーズ(Retrogamers)」を自認するフランスのグループ「MO5.COM」が呼び掛けている。

「旧型のコンソールも目的の一つだけど、ぼくたちは昔のゲームでまたプレーしたいんだ」というリーダー格のギヨーム・ベルダン(Guillaume Verdun)さん。「ビデオゲームは、美術館に飾られた絵画や彫刻のように観賞するものじゃない。ジョイスティックを手に握ってプレーしてこそ、その価値が感じられるんだ」と博物館の意義を語る。

 ベルダンさんらレトロゲームを愛する「レトロゲーマー」たちが設立を提唱する「National Institute of Digital Sciences(国立デジタルサイエンス研究所)」は、「スーパーマリオブラザーズ(Super Mario)」や白黒画面の卓球ゲーム「ポン(Pong)」など古典的ビデオゲームを、プレー可能な状態で保存展示するというものだ。

 ベルダンさんによれば、MO5.COMはすでに、フランス国立図書館(French National Library)やパリ(Paris)の「シテ科学産業博物館(Cite des Sciences)」などと接触。ナタリー・コシウスコ・モリゼ(Nathalie Kosciusko-Morizet)デジタル経済開発担当相にも、構想を説明したという。

 一方で、レトロゲームや旧型コンソールにも保存価値があるとの認識が一般に浸透するまでには時間が必要だと、ベルダンさんは認める。

 パリで前週末に開催されたビデオゲームの見本市会場には、3Dやリアル感を強調した最新型のゲームが堂々と立ち並ぶが、来場者のなかには昔のゲームに自身の若かりしころを重ね合わせて懐かしむ40代前後のレトロゲーマーも少なくないようだ。

 38歳の来場者は、「初代マリオとは10代の時に遊んで以来。昔のビデオゲームを目にするなんてとても感動だ。人々が次から次へと技術開発を待ち望むのがゲーム業界だから」と話す。

 一方、ゲームメーカーの間では、レトロゲーム博物館についての意見は分かれる。

 ベルダンさんによると、任天堂(Nintendo)やセガ(Sega)などの大手は、MO5.COMにスペア部品の提供を申し出るなど、ビデオゲームの歴史を展示する必要性に「敏感」に反応しているという。

 だが、多くのゲームメーカーは最新技術の開発のみに目を向け、フラッシュ光を放ちデジタル音を発する歴史的遺物の保存に無関心なのが現状だ。(c)AFP/Mehdi Cherifia