【9月19日 AFP】フランス通信最大手のフランステレコム(France Telecom)で、従業員の自殺が相次いでおり、08年2月以降の自殺者の数は23人に上っている。同社も、従業員の間に「悪の連鎖」が起きていると認めており、大きな騒動に発展している。

 17日には、パリマッチ(Paris Match)誌が、23人目の自殺者となったステファニーさん(32)が自殺の直前に父親に宛てた電子メールを掲載した。ステファニーさんは11日、パリ(Paris)にあるオフィスの顧客サービス部署の4階から飛び降りて自殺した。

 ステファニーさんは、自殺の数分前に父親宛に送ったメールで「わたしが23人目の自殺者になる」と述べていた。

「けさ電話で話したとき、わたしの調子が悪そうだと言ってたけど、その通りよ。自殺の衝動にまた取りつかれているの。今夜実行するつもり。大家さんに連絡をしても無駄よ。わたしはオフィスで命を絶つつもりだから。もちろん上司には言ってない」

 自殺する理由について、ステファニーさんは「部署の再編成が許せない。新たな上司のもとで働くくらいなら死んだほうがまし」と述べた。

「ハンドバッグも携帯もオフィスに置いていくけど、ドナーカード(臓器提供意思表示カード)は身につけていく。もしかしたら使えるかも。あと、わたしの家からペットのウサギとネコを引き取るのを忘れないで。ごめんなさい。もうどうすればいいのかわからない」

 家族によると、ステファニーさんは5年間にわたって抗うつ薬を処方されていたという。

■自殺の背景には不安定な労働環境

 10万人の従業員を抱えるフランステレコムは、以前は国営の独占企業だったが、現在は規制緩和された通信市場で競争にさらされており、過去数年間で何度かにわたって大規模な再編成を余儀なくされた。そのため、従業員の間ではストレスがまん延している。

 23人目の自殺者が出たことを受けて、フランステレコム社は15日、人事方針の見直しをすると約束した。

 フランスの全人口における自殺率と比較すると、フランステレコム社の自殺者が多いとは言えない。しかし、複数の従業員は職場で自殺しており、自殺の原因は仕事にあると遺言で書き遺したケースもあった。(c)AFP