【9月17日 AFP】約9年前に失明した米国人女性(60)が、歯を用いた人工角膜の移植によって視力を回復したと、手術を行った米マイアミ大学(University of Miami)バスコム・パルマー眼研究所(Bascom Palmer Eye Institute)の医師らが16日、明らかにした。

 ミシシッピー(Mississippi)州在住のシャロン・ソーントン(Sharron Thornton)さんは、2000年にスティーブンス・ジョンソン症候群にかかり、失明した。角膜移植や一般的な人工角膜は拒絶反応があったという。

 そこで医師らは、ソーントンさんの犬歯を周囲の骨ごと取り出し、形を整えたのち、穴を開けてそこに光学レンズをはめ込む手法を取った。この手法では、レンズをはめた歯は患者のほおまたは肩の皮下に移植され、歯とレンズがしっかり結合するまで2か月間放置される。こうしてできあがった人工角膜に細かい処置を施した後、目の中心に移植した。

 包帯は2週間前に外されたが、ソーントンさんはその数時間後に物体や人を認識できるようになり、2週間後の今では新聞も読めるまでになった。「まだ見たことのない7人の孫たちの顔を早く見たい」と話しているという。

 この手法は、もともとイタリアで開発されたが、米国では今回が初の実施。患者本人の歯を使用するため、角膜移植への拒絶反応がある人でも大丈夫だという。(c)AFP