【9月17日 AFP】色覚障害を持つサル2匹に遺伝子治療を施し、すべての色を識別できる色覚を持たせることに成功したと、米ワシントン大学(University of Washington)などの研究チームが17日の英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表した。ヒトの色覚障害治療への応用が期待されるという。

 赤と緑が区別できない色覚障害は、遺伝情報におけるたった1回の変異で引き起こされると考えられており、男性の5~8%、女性の約1%が色覚障害者といわれる。

 研究チームは、生まれつき色覚障害のある成体のリスザル2匹を、1年以上かけて訓練。タッチスクリーンに表れた色の境界を正しくなぞることができたら、ごほうびのグレープジュースを与える方法で、16色の識別テストに回答できるようにした。

 その上で、赤い光を感知する視物質の遺伝子を風邪ウイルスに組み込み、これをサルに感染させることで、遺伝子を網膜の細胞に取り込ませた。

 この治療から約20週間後、2匹はすべての色を認識できるようになり、この状態は2年以上続いたという。

 色覚障害を持つ霊長類で、網膜のすべての光受容体が完全に回復した例は、今回が初めて。先天性の視覚障害は治癒不能という一般概念も覆されることになった。(c)AFP