【8月26日 AFP】リビアの最高指導者のムアマル・カダフィ(Moamer Kadhafi)大佐が、ニューヨーク(New York)訪問に際して、ロッカビー(Lockerbie)上空で発生したパンアメリカン(Pan Am)航空103便爆破事件の犠牲者遺族が多く住む地域のそばに野営地を設営しようとしていることから、米政府が対応に苦慮していることが25日、明らかになった。

 ベドウィン(Bedouin、アラブ遊牧民)出身のカダフィ氏は、ベドウィン文化に忠実でありたいとして、訪問先ではキャンプに野営しており、ローマ(Rome)中心部の広場から、パリ(Paris)のエリゼ宮(Elysee Palace)近くの庭園など、ありとあらゆる訪問先で野営地を設営している。

 カダフィ氏は、リビアが議長国を務める国連総会(UN General Assembly)の開会式に出席するため、9月にニューヨークを訪問する。国連高官によると、カダフィ氏の国連訪問は、同氏の40年間の在任期間中で初めてのこと。

 しかし、前週、スコットランド自治政府が釈放しリビアへ帰国したロッカビー事件の受刑者を、リビア側が暖かく迎え入れたことに対して、米国は強い反発を示していたばかりだった。

 フランク・ローテンバーグ(Frank Lautenberg)米上院議員(民主党)は、米国務省に対し、カダフィ氏が国連施設区域の外へ出ることを禁止し、ニュージャージー(New Jersey)州イングルウッド(Englewood)郊外にあるリビア外交施設の敷地内に野営地を設営することを阻止するよう要請した。ニュージャージー州選出のローテンバーグ議員によると、イングルウッドはパンナム航空機爆破事件の犠牲者の遺族が多く暮らしているという。

 国務省のイアン・ケリー(Ian Kelly)報道官は25日、国連と米国は国連施設に各国指導者が集まることに合意していると述べ、カダフィ大佐をニューヨーク地区に引き留めておくことができるかどうかについては、まだはっきりしていないと語った。(c)AFP