【7月22日 AFP】米マサチューセッツ(Massachusetts)州で、自宅ドアが壊れて開かなかったためドアを壊して自宅に入ったハーバード大(Harvard University)黒人教授のヘンリー・ルイス・ゲイツ(Henry Louis Gates)氏(58)を誤って逮捕したことについて、ケンブリッジ(Cambridge)市警は21日、同教授に謝罪した。

 ケンブリッジ市警は、ゲイツ教授を送検しない方針を発表。ケンブリッジ市警とゲイツ教授は共同記者会見を開き、「2009年7月16日に起きた事件を遺憾で不幸なことだと考えている」と述べた。

「この事件は、ゲイツ教授の人格と名声やケンブリッジ市警を傷つけるものとしてみられるべきではない。当事者はこの事件について、一連の不運な状況の結果であるとの見解で一致している」(ケンブリッジ市警とゲイツ教授の共同声明)

 この事件について、ゲイツ教授は人種差別だとして警察当局を激しく非難していた。

 ゲイツ教授は、アフリカンアメリカンスタディーズ(アフリカ系米国人研究)を代表する専門家。1997年に米タイム(Time)誌で、米国で最も影響力のある25人に選出されたこともある。警察は、「大声を出すなど騒々しかったため」公共秩序を乱した行為で逮捕したと説明していた。

 7月16日の警察の報告書によると、自宅ドアを壊そうとしているゲイツ教授と同教授の黒人運転手をみかけた通行人の女性が、警察に通報した。警察が到着した時、ゲイツ教授は自宅に入り、ドアの故障について自宅の管理事務所に電話をかけていた。

 ゲイツ教授は、警官に自宅であることを説明し、ハーバード大の身分証明書や運転免許証を提示したが、警官は家の外に出るよう指示。外に出たところで手錠をかけられ逮捕された。その後釈放まで4時間にわたって拘束されていた。

 逮捕された際、ゲイツ教授は現場で「これがアメリカで黒人の身に起きていることだ」と語ったという。(c)AFP