【7月9日 AFP】独ベルリン動物園(Berlin Zoo)は8日、2007年に世界中のメディアでセンセーションを巻き起こしたホッキョクグマ「クヌート(Knut)」をめぐる裁判で、ノイミュンスター動物園(Animal Park Neumuenster)に対し、43万ユーロ(約5500万円)を支払うことで合意したと発表した。

 母親の育児放棄により人口飼育されたクヌートは、人びとの同情をあつめ、世界中で大人気となった。飼育を行っていたベルリン動物園は、クヌート人気のおかげで、入園料収入や関連商品など数百万ユーロの収入をあげた。

 これに対し、クヌートの父親「ラース(Lars)」を同動物園に貸し出したノイミュンスター動物園は、クヌート人気で得た利益の配分を求める訴えを起こした。ノイミュンスター動物園はクヌートの所有権も主張している。

 ベルリン動物園は、「ホッキョクグマの相場」である35万ユーロ(約4500万円)の支払いを提示したが、ノイミュンスター動物園側は、50万ユーロ(約6500万円)の支払いを求めていた。

■クヌートに異常行動?

 報道によると、2007-08年のベルリン動物園の収入は「クヌート効果」により、約600万ユーロ(約7億7500万円)に急増したという。

 クヌートの人気は世界中に広まり、初めて一般に公開された際には、カメラマン100人を含む約500人の報道陣が詰めかけた。有名な雑誌の表紙を飾ることもしばしばだった。

 現在のクヌートは立派に成長しているが、動物保護団体などは、幼いころに注目を浴びすぎたせいで、来園者が写真を撮る姿をまねるなどの異常ともいえる行動をとるようになっていると指摘している。(c)AFP