【6月29日 AFP】独自動車大手ダイムラー(Daimler)は26日、同社初のハイブリッドモデルを発売した。先行するトヨタ自動車(Toyota Motor)から実に10年遅れのハイブリッド市場参入となった。

 欧州市場に投入されたダイムラー初のハイブリッドモデルは、メルセデス・ベンツ(Mercedes Benz)Sクラス。同社は「高級車の二酸化炭素(CO2)抑制チャンピオン」と宣伝しているが、1キロメートルあたりの二酸化炭素排出量は186-189グラムで、欧州の平均値(約160グラム)を上回っている。

 これについてダイムラーは、通常のガソリンエンジン搭載モデルのSクラスの排出量は234グラムだと反論している。

 ダイムラー広報はさらに、「(ハイブリッド車を)少なくとも1年に1車種ずつ発表していきたい」との展望を語った。

■エコ重視へ、変わるドイツ自動車市場

 ダイムラーのハイブリッド市場参入は、伝統的にハイパワーの大型車が中心だった独自動車産業において、小さな革命だといえる。

 独自動車メーカーは、ポルシェ(Porsche)が2010年下半期にSUV(スポーツ用多目的車)「カイエン(Cayenne)」のハイブリッドモデルの量産を開始するほか、BMWも年内に7シリーズのセダンにハイブリッドモデルを投入する計画を検討中だ。

 専門家によれば、ドイツの自動車各社は長年、ハイブリッド車に商機があるとは見なしておらず、ディーゼルエンジンに主眼を置いてきた。結果、独自動車市場はディーゼル車中心となり、前年度のハイブリッド車の市場規模は、トヨタやホンダ(Honda Motor)の6500台にすぎず、市場全体のわずか0.2%にとどまっている。

 ただ、ドイツ人は自国ブランドに強いこだわりがあることから、国内メーカーのハイブリッド参入でハイブリッド車の需要が高まるとの分析もある。(c)AFP/Lenaig Bredoux