【6月27日 AFP】気球による初の無着陸世界一周に成功したスイス人科学者、ベルトラン・ピカール(Bertrand Piccard)氏は26日、同国チューリヒ(Zurich)近郊の飛行場で約800人を前に、太陽エネルギーのみを使うソーラー飛行機「ソーラー・インパルス(Solar Impulse)」の試作機を発表した。

 新技術の粋が凝縮された試作機の開発には6年が費やされた。ハチのような形をした機体は炭素繊維で作られており、全幅はジャンボジェット機並みの63.4メートルもあるものの、重量は中型車を少し上回る程度だ。両翼に敷き詰められた約1万2000個の太陽電池が発電した電気は小さな4つのモーターに供給されるほか、夜間の飛行に備えて合計400キロのバッテリーに蓄電される。

 現在はまだコンピューターによるシミュレーションを行っている段階だが、年内には初のテスト飛行を行う予定。テスト飛行では太陽光のみで2日1晩連続飛行することを目指す。その後新しい機体で2012年に世界一周に挑戦するという。

 スイスのモリッツ・ロイエンベルガー( Moritz Leunberger)環境・運輸・エネルギー・通信相は、気候変動対策をとっていく上でこの機体は「希望の翼」だと述べた。(c)AFP