【6月25日 AFP】「アジアで最も裕福な女性」と言われた大富豪、故・王如心(英名ニナ・ワン、Nina Wang)さんの約130億ドル(1兆2400億円)の遺産をめぐり遺族と争っている、元バーテンダーの風水師、陳振聰(Chan Chun-chuen、英名トニー・チャン、Tony Chan)氏が、25日の口頭弁論で、ワンさんと遊びで紙幣を燃やしたことがあると答えた。

 香港(Hong Kong)の高等法院で開かれた口頭弁論2日目、ワンさんの愛人だったと主張しているチャン氏は、ワンさんが所有する複数の敷地に、風水用の穴を掘ったことを認めた。「1992年6月ごろから、そうした穴を掘るのが結婚している夫婦のゲームのような感じで、2人の間で流行った」とチャン氏は傍聴席が満席の法廷で述べた。風水のつきを呼び込むために、それらの穴にひすいを置くと良いと、ワンさんにアドバイスしたという。

 チャンさんを訴えたワンさんの遺族が運営するチャイナケム慈善財団(Chinachem Charitable Foundation)の弁護人は、掘ったという穴のひとつに紙幣の燃えかすが残っている写真を法廷で示した。しかし、チャンさんは風水の儀式として紙幣を燃やすようワンさんに助言したことはないと答えた。

 一方で「寺院でニナが本物の10ドル紙幣を燃やすのに付き合ったことはある」と言い添えた。2人で一緒にボート遊びをした帰りに、ワンさんが遊びで燃やしたという。

 ワンさんは2007年にがんで亡くなったが、チャンさんは愛人だった自分にすべての遺産を残してくれたと主張している。裁判を起こしたチャイナケム慈善財団は現在ワンさんの兄弟が運営しているが、チャンさんが根拠としている遺書は偽物だと反論している。(c)AFP