【6月14日 AFP】12日投票のイラン大統領選挙で、強硬派の現職、マフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領が63%の得票率で圧勝したことが13日に正式発表されたことを受け、野党の対立候補の支持者ら数千人が選挙に不正があったとして首都テヘラン(Tehran)で抗議行動を行った。

 発表された選挙結果に怒ったライバル候補の穏健派、ミルホセイン・ムサビ(Mir Hossein Mousavi)元首相の支持者はまずテヘラン中心部のムサビ氏の選挙事務所に集まった。現場にいたAFPの記者は、群衆を排除するために動員されたバイクに乗った機動隊員が警棒で抗議行動参加者をたたく場面を目撃した。

 ムサビ氏はこれに先立つ同日、選挙に不正があったと指摘していたが、その後ウェブサイトに「深刻な選挙違反があったので怒るのはもっともだが、平静と抑制を失わず暴力とは一線を画するよう求める」との声明を掲載して支持者に平静を呼び掛けた。

 支持者らはテヘラン中心部で「独裁者を倒せ」などと叫び選挙結果への不信と不満を口にした。群衆の一部は警察に投石し、警官隊は警棒や催涙弾で対応して両者は衝突した。警察は同日夜にはムサビ氏の事務所がある地域を中心に主要な道路と広場の警戒を強化し、数十人の男性が手錠をされて内務省の建物に連行される姿も見られた。

 一方、アフマディネジャド大統領は13日夜のテレビ演説で「選挙は完全に自由に行われた。偉大な勝利だ」と述べ、14日午後5時(日本時間同日午後9時30分)にテヘランのバリアスル広場(Vali Asr Square)に集まるよう支持者に呼び掛けた。この演説中にイランの主要な携帯電話網は不通になり、SNSサイト、フェースブック(Facebook)も遮断された。

 イランの最高指導者、アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師は、1979年のイラン革命後最も加熱した選挙戦をアフマディネジャド氏が制したことを歓迎し、国民に同氏のもとで結束するよう訴えた。

 今回の大統領選挙はアフマディネジャド大統領1期目の4年間で、イランの農村部と、ムサビ氏を支持した若年層が多く暮らす大都市部の間に深い分裂が生まれたことを明らかにした。

 米政府は13日、選挙に不正があったとの報告を関心をもって見守っていると述べた。また英国のデービッド・ミリバンド(David Miliband)外相は、英国はイラン情勢の推移を見守っていくと述べた。(c)AFP/Jay Deshmukh