【6月6日 AFP】世界環境デー(World Environment Day)の5日、写真集「空から見た地球(Earth From The Air)」などで知られる仏の著名航空写真家ヤン・アルテュス・ベルトラン(Yann Arthus-Bertrand)氏が監督したドキュメンタリー映画「HOME 空から見た地球(HOME)」が世界100か国以上で一斉に公開された。

 環境問題への関心を高めることを目的に、映画館、テレビ、DVD、インターネットなど、あらゆるメディアで、ほとんどの場合は無料で公開された。このほか世界各地の屋外イベント会場での上映会も行われ、史上最大規模の「エコ・イベント」となった。

 「これは単なる映画の上映以上のもの、重要な大イベントだ」と、同作品のプロデューサーらは強調している。

 地球上の自然のすばらしさをヘリコプターから空撮した息をのむような美しい映像から始まり、その後、汚染物質をはき出す工場や空港、石油掘削プラットホームが映し出され、やがて数多くの言語に翻訳されたメッセージが表示される――「悲観主義者でいるには遅すぎる」。

 ベルトラン氏はAFPの取材に応じ、「世界的に環境問題への関心が高まりつつあるが、いまだに具体的な行動はあまりにも少なく、あまりに遅い」と語っている。

 同作品の製作総指揮は仏の著名映画監督リュック・ベッソン(Luc Besson)が担当。54か国で行われた撮影に217日、編集作業を終えるまでに約3年かかったという。

 ナレーションは、英語版をグレン・クローズ(Glenn Close)、スペイン語版をサルマ・ハエック(Salma Hayek)の2人の女優が務めている。作品監修は、07年度ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者のアル・ゴア(Al Gore)元米副大統領と、米国の地球環境問題のオピニオンリーダー的存在であるレスター・ブラウン(Lester Brown)氏が行った。

 この作品には1000万ユーロ(約13億円)というドキュメンタリー映画としては巨額な制作費が投じられた。この制作費は、フランソワ・アンリ・ピノー(Francois-Henri Pinault)氏が最高経営責任者を務める仏PPRグループがサポートしている。PPRグループは、グッチ・グループ(Gucci Group)などを傘下に収める世界有数の高級品・小売大手。(c)AFP/Anne Chaon

【参考】YouTube「Home」の公式チャンネル