【5月30日 AFP】29日発行の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に、カフェイン含有量が多いチューインガムの食べ過ぎでカフェインの過剰摂取の症状を示した少年(13)の例が掲載された。論文を執筆した医師は子どもは大人よりもカフェインの影響を受けやすいとして注意を呼び掛けている。

 イタリア・ナポリ(Naples)のナポリ第2大学(Second University of Naples)のフランチェスコ・ナターレ(Francesco Natale)医師によると、この少年は学校で異常に興奮し、攻撃的になったため両親に連れられて同医師が勤務するモナルディ病院(Monaldi Hospital)の緊急外来にやってきた。

 少年は腹痛と尿意、脚にチクチクと刺すような痛みを訴えた。呼吸は荒く、脈拍数は毎分147回で血圧も高かった。

 コカイン、ヘロイン、アンフェタミンなどの薬物検査をしたが陰性だった。経過観察のため少年は1晩入院し、翌日好転したため退院した。

 ところが数日を経て、この少年は再び一般外来を受診した。今度は眠気とだるさを訴え、母親は何に対してもやる気がなく、学校も休んでいると話した。

 論文は「この少年は4時間でチューインガム2パックを消費したことを認めた。カフェイン含有量は320ミリグラムに上る。少年の体重は45キロだったので体重70キロの成人に換算するとお茶10杯分に相当する量だ」ととして、少年の異常の原因はチューインガムに含まれるカフェインではないかと指摘している。

 このチューインガムにはガラナや甘味料なども含まれていたが、その量は少なく、少年は一貫してカフェイン過剰摂取の症状を示していたため、カフェイン以外の成分は体調不良の原因ではないだろうとしている。

 論文は子どもは体重が軽く、大人よりコーヒーやお茶を飲む回数も少ないので身体がカフェインに慣れていないことから、カフェインの過剰摂取の影響を受けやすいとしている。(c)AFP