【5月23日 AFP】(一部更新、写真追加)韓国の盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo-Hyun)前大統領(62)が23日朝、山歩き中に岩から飛び降りて頭部に重傷を負い、搬送先の国立釜山大学付属病院(Busan National University Hospital)で午前9時30分(日本時間同)に死亡が確認された。

 釜山大学付属病院の発表によると、直接の死因は頭部の負傷だったが、肋骨(ろっこつ)や骨盤などに多数の骨折がみられたという。

 大統領在職当時に側近だった文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-In)元民政主席によると、前大統領は同日夜明けごろ、ボディガードと一緒に韓国南東沿岸部の金海(Gimhae)市郊外の自宅を出て山歩きをしていたが、午前6時40分ごろ、岩から飛び降りたという。重傷を負い近くの病院に運ばれた後、釜山市の病院に転送された。また、前大統領は家族に宛てた短い遺書を残していたという。KBSテレビは遺書に「非常につらかった。多くの人が困難に苦しんできた。私の遺体は火葬して、村に小さな墓を建ててください」と書かれていたと伝えた。

 警察は自殺かどうか調査を進めているとしている。テレビは現場付近を調べる科学捜査員の姿を放送した。

 検察当局は、盧氏の後援者である靴製造企業の社長から、盧氏の妻である権良淑(クォン・ヤンスク、Kwon Yang-Suk)夫人が100万ドル(約1億円)、実兄の娘婿ヨン・チョルホ(Yeon Cheol-Ho)氏が500万ドル(約5億円)の資金供与を受けた疑いに関して前月30日、盧氏に事情を聴き、逮捕するか検討しているところだった。

 盧氏は親族がこの件に関与したことに対して謝罪したが、自身の不正への関与は否定していた。これとは別に盧氏の兄、盧建平(ノ・ゴンピョン、Roh Gun-Pyeong)受刑者が、盧氏の大統領在職中に200万ドル(約2億円)を超えるわいろを受け取ったとして禁固4年の刑を受け前週、収監された。

 盧氏は反汚職などを掲げ2002年の大統領選で勝利し、03-08年に大統領を務めた。韓国で大統領経験者が検察の事情聴取を受けたのは全斗煥(チョン・ドゥファン、Chun Doo-Hwan)元大統領、盧泰愚(ノ・テウ、Roh Tae-Woo)元大統領の2人に続き3人目。両者は1995年に反逆罪と収賄で有罪判決を受けたが、97年に特赦を受けている。

 盧前大統領が死亡したことを受け、韓昇洙(ハン・スンス、Han Seung-Soo)首相は緊急閣議を招集した。欧州連合(EU)との首脳会談が予定されていた李明博(イ・ミョンバク、Lee Myung-Bak)大統領は、前大統領の死を「国家的悲劇」と表現し、その後の予定をすべてキャンセルした。(c)AFP/Park Chan-Kyong