【5月14日 AFP】(写真追加)世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)は13日、劇的な温室効果ガス削減を行わない限り、気候変動の影響で、豊かな生態系を誇るアジアの「コーラル・トライアングル(Coral Triangle)」海域が21世紀末までに死滅すると警告した。

 WWFが新たに発表した報告書によると、「海のアマゾン」と呼ばれる東南アジアにある広大なコーラル・トライアングルが、海水温度、海面水位、酸性度の上昇によって破壊される危険性がある。この海域のサンゴ礁が死滅した場合、同海域の食物生産は80%減少し、1億人以上の生活が危険にさらされるという。

 報告書の主筆者、Ove Hoegh-Guldberg氏は「気候変動への対策が不十分だと、急激な海面水位の上昇で海岸沿いが浸水し、数千万人が住居を失うことになる。食料の安全保障が弱体化し、今世紀末の世界は、ほとんど悪夢のような世界になる」と指摘する。

 WWFのコーラル・トライアングル・イニシアティブ(Coral Triangle Initiative)を率いるLida Pet Soede氏は、東ティモール、インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、フィリピン、ソロモン諸島に囲まれたコーラル・トライアングルは、生物多様性にとって必要不可欠な海域だと語る。

「コーラル・トライアングルの一部は、あらゆる魚にとって非常に重要な海域。コーラル・トライアングルを回遊するマグロや、そこで産卵するカメに次の世代が生まれることはないだろう」(Lida Pet Soede氏)

 WWFの報告書は、インドネシアのマナド(Manado)で開かれている世界海洋会議(World Ocean Conference)で発表された。世界海洋会議は、気候変動と海洋との関係について協議する初の世界規模の会合で、世界70か国の閣僚や高官が参加している。(c)AFP/Aubrey Belford