【5月7日 AFP】米国で絶滅の危機にあるとされてきたタイリクオオカミ(ハイイロオオカミ)が、4日、個体数が回復したとして、約35年ぶりに同国の絶滅危惧(ぐ)種リストから除外された。リスト除外によって多くの州でこのオオカミの猟が再び可能となる。

 米国は1970年代、「適切な配慮と保全に欠いた経済成長と開発の結果」として絶滅の危機に瀕した生物種を保護するため、「種の保存法(Endangered Species Act)」の下に幅広い分野にまたがる数十の環境法を整備した。

 タイリクオオカミ(学名:canis lupus)は多くの州でほとんど姿を消し、1974年に絶滅危惧種リストに入れられた。しかし、保護努力の甲斐あり、ミシガン(Michigan)、ミネソタ(Minnesota)、ウィスコンシン(Wisconsin)州などを含む五大湖(Great Lakes)周辺では現在約4000頭にまで個体数が回復し、このほかロッキー山脈(Rocky Mountain)を有するアイダホ(Idaho)、モンタナ(Montana)両州に1300頭以上、アラスカ(Alaska)州に8000-1万1000頭がいる。

 これらの州すべてでは、厳格な規制に則ってタイリクオオカミの猟を行うことができる。モンタナ(Montana)州にある米魚類野生生物局(US Fish and Wildlife Service)でオオカミの生息数回復コーディネーターを務めるエド・バングズ(Ed Bangs)氏は「そうした州はオオカミ猟の規制を用いて、オオカミの個体数を管理することができるだろう。今年の秋の狩猟期には、オオカミ猟のライセンスを買うことができるようになる」と説明した。(c)AFP