【5月6日 AFP】デンマークの元医師が5日、毒殺されたなど諸説ある仏皇帝ナポレオン・ボナパルト(Napoleon Bonaparte)の死因について、新たな説を発表した。それによると、ナポレオンの死因は慢性的な腎疾患だったという。

 元外科医のArne Soerensenさん(82)は、今週出版される『Napoleon's nyrer(「ナポレオンの腎臓」の意)』の中で、ナポレオンは長年、腎臓と泌尿器の疾患に悩まされており、それが元で死亡したという説を発表した。Soerensenさんは、ナポレオンの「幼少期から死ぬまで」の健康について研究を続けてきたという。

 SoerensenさんはAFPに対し、「若い時から、ナポレオンは慢性的な尿道狭窄(きょうさく)や膀胱(ぼうこう)の感染症、腎臓病、閉塞性腎疾患などの病気に悩まされており、これらの合併症が死につながった」と語った。

 さらに、「排尿時に痛みがあったとみられ、ナポレオン自身も『痛くて死にそうだ』との言葉を残している」と語った。こうした症状は1790年代から51歳で死亡する1821年まで続いたはずだという。

 Soerensenさんは、医師の診断書や遺体の解剖報告書などを分析し、ナポレオンはイタリア遠征(1796年)やロシア遠征(1812年)、さらには1815年のワーテルローの戦い(Battle of Waterloo)のころはずっと病気だったと結論した。

 Soerensenさんは「多くの専門家や歴史家がナポレオンの死因について議論してきた。泌尿器官の問題も取り上げられたものの、重視されていなかった。しかしこれはナポレオンの病気の進行や死因を理解する上で重要な要素だ」と指摘した。

 ナポレオンの死因について、フランスではセントヘレナ島(St. Helena)に追放された際に、英国人にヒ素を盛られたという説が長く語られている。また、仏軍の食事が原因の胃ガンで死亡したという説もある。(c)AFP