【5月4日 AFP】ネパールで08年の王政廃止後、制憲議会選挙を経て誕生したネパール共産党毛沢東主義派(毛派)政権のプスハ・カマル・ダハル(Pushpa Kamal Dahal、別名プラチャンダ、Prachanda)首相が4日、就任からわずか8か月で辞任を表明した。

 毛派が反政府武装闘争を終結した06年の包括和平協定では、元毛派戦闘員1万9000人を政府軍に編入することが定められたが、これを拒否した陸軍参謀長のカタワル(Rookmangud Katawal)将軍を3日、毛派政権は解任した。

 しかし、これに対して4日、第2党の野党ネパール会議派(Nepali CongressNCP)のラム・バラン・ヤダブ(Ram Baran Yadav)大統領が、同参謀長に現職にとどまるよう命じた。ネパール軍は伝統的にエリートたちで固められ、王政時代の名残となっている。

 辞任の決断に至ったプラチャンダ首相は「大統領の行動は、まだ生まれて間もない民主主義と和平プロセスに対する攻撃だ。暫定憲法は大統領に並行した権力をもって振る舞ういかなる権限も認めていない。文民統制に関する問題だ」と強く抗議を表明した。

 元反政府勢力である毛派と軍トップの確執から、ネパール政局が危機的状況に陥る展開が懸念される。(c)AFP/Deepesh Shrestha