【4月30日 AFP】韓国の国家生命倫理審議委員会は29日、黄禹錫(ファン・ウソク、Hwang Woo-Suk)元ソウル大教授の論文捏造事件を受けて禁止していたヒトクローン胚による胚性幹細胞(ES細胞)の研究について、条件付きでの再開を認めることを決めたと発表した。

 同委員会は、中絶された卵細胞を使用して難病の治療を目指すソウル(Seoul)のCHA病院の幹細胞プロジェクトを、4つの条件を付けて認可した。

 その条件とは、卵子提供者の同意書をあらためて取り直すこと、ヒトの卵子の使用を最小限にするために極力実験用動物を使用すること、不正に対する内部監視機関をもうけること、となっている。
 
 さらに、同病院のプロジェクト名「パーキンソン病などの病気の治癒を可能とする幹細胞研究」となっている点について、同委員会は「誤った希望を人々に抱かせるおそれがある」として、名称の変更を求めた。

 同委員会は2006年、世界で初めてヒトのES細胞の作製に成功したと報じられた黄・元ソウル大教授が実際は論文を捏造していた事件の発覚を受け、ヒトクローン胚によるES細胞の研究を禁止した。

 同国の科学者らは、特にバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領が今年になって連邦予算によるES細胞への研究助成を再開させると発表して以来、禁止措置を緩和するよう政府への働きかけを行ってきた。(c)AFP