【4月23日 AFP】アシカやアザラシなどの鰭脚(ききゃく)類は、陸上の哺乳(ほにゅう)類から進化したと考えられているが、その進化の過程における「ミッシング・リンク」を解くカギとなる全身骨格化石が発見された。カナダと米国の科学者らが23日の英科学誌ネイチャー(Nature)で発表する。

 これまで、鰭脚類の進化の過程については、証拠となる化石がほとんど発掘されていないこともあり、研究が困難だった。カナダ北部の北極圏の湖で発見された化石は、進化の初期における重要な手掛かりを与えてくれるものと期待されている。

 また、発見された場所から、「アザラシは北米の北西部の海岸で進化した」との定説が覆される可能性があり、アザラシの大きな目は「光の届きにくい深海に潜るためのものではなく、北極圏の暗い冬での狩りに適応したもの」だとの仮説を立てることができる。

 化石は、2000-2400万年前のものとみられ、2007年にカナダ・ヌナブット(Nunavut)準州のデボン島(Devon Island)のいん石衝突によるクレーターを調査している際に発見された。

 化石は全体の約65%が残っており、カワウソのような体とアザラシのような頭を持っている。また、しっぽは長く、足には水かきがあり、「泳ぎには適していた」とみられるという。このいわゆる「歩くアザラシ」は、英国の自然科学者チャールズ・ダーウィン(Charles Darwin)にちなんでイヌイット語で「若い海棲(かいせい)哺乳動物」を意味する言葉とあわせ「プイジラ・ダーウィニ(Puijila darwini)」名付けられた。(c)AFP/Michel Comte