【4月22日 AFP】オーストラリア・タスマニア(Tasmania)州で、ある起業家が独創的な発想に基づくエコ商品を開発し、「古紙」という言葉にまったく新しい概念をもたらした――。ウォンバットの「ふん」を用いて上質の紙を作ったのだ。

 自らを「ふん専門家」と呼ぶダレン・シンプソン(Darren Simpson)氏は、ナゲット(Nugget)くんというウォンバットのふんを使って紙を作った。

 シンプソン氏はAFPに対し、「あなた方がするような丸くて長い、いわゆる普通の排泄物とはちがいますよ。ウォンバットのふんは硬くて、繊維質が豊富なんです。ふんを割ってみると分かりますが、もう植物ですよ。つまり、ウォンバットは小型パルプ製造器と言えるのです」と語る。

 シンプソン氏は前月、ナゲットくんの飼い主の協力を得て、ふんを集め煮沸し、綿繊維と混ぜて「ふん紙」を作った。これは、カンガルーのふんを使った「ルーペーパー(roo poo)」に続くものだという。

 シンプソン氏によると、ルーペーパーの試作を使っていた際に、たくさんに人からほかの動物のふんでは作れないのかと聞かれ、ウォンバットのふんを使うことを思いついたという。

 シンプソン氏は「ウォンバットは、高い岩の上にふんをするんだよ。ふんを自らのテリトリーを示す標識に使っているからね。だから回収しようとすると、取り返そうとするんだ」と説明する。

 ウォンバットのふんを使った紙は、ナゲットくんの食べるものによって、冬は緑がかった色、夏は黄色になるという。現在は、絵画用紙や結婚式の招待状、ギフトカード、しおりなどが作られているが、シンプソン氏は、写真アルバムや日誌用紙、原稿用紙なども製造する意向だという。

 ただ問題もある。シンプソン氏は「封筒を閉じる時、誰も封筒をなめようとしないんだ。まあ、テープでとめればいいんだけどね」と語る。(c)AFP