【4月22日 AFP】(一部修正)ソマリア沖の公海上で米船籍の貨物船を襲撃後、米海軍に拘束された10代の海賊の1人が21日、米ニューヨーク(New York)で、「国際法上の海賊行為」の罪などで、成人として裁判にかけられることになった。

 青いTシャツ姿のアブディ・ワリ・アブディ・カディル・ムセ(Abdi Wali Abdi Khadir Muse)容疑者は同日、通訳を伴ってうつむきかげんで裁判所に出廷した。アンドリュー・ペック(Andrew Peck)判事は、ムセ容疑者の父親が同容疑者の年齢を15歳だと証言したことを「信用できない」として退け、裁判では成人として扱うよう命じた。検察側は同容疑者は18歳以上だと主張していた。

 ムセ容疑者は、「国際法上の」海賊行為、武力による船舶の乗っ取り行為の共謀、人質をとる行為の共謀、人質をとる行為における火器の使用と威嚇という5つの罪で裁判にかけられる。最も重い罪で有罪になった場合、終身刑が言い渡される可能性がある。

 ムセ容疑者は今月8日、小型ボートで米船籍の貨物船を襲撃し、船長のリチャード・フィリップス(Richard Phillips)船長を人質にとった海賊の1人。同容疑者は事件発生から5日目の12日、フィリップ船長の解放の見返りに安全な通航を要求するために米海軍のミサイル巡洋艦ベインブリッジ(Bainbridge)に乗艦したところを拘束された。同日、米海軍の狙撃手はムセ容疑者以外の海賊3人を射殺し、フィリップ船長を解放していた。検察側は、ムセ容疑者は海賊のリーダーだとしている。

 前日の20日夜ニューヨークに移送されたムセ容疑者は、集まった大勢の報道陣の前で笑顔を見せていた。(c)AFP/Luis Torres de la Llosa