【4月20日 AFP】中国の世界遺産、「万里の長城(Great Wall)」がこれまでに考えられていたよりもさらに長かったという研究結果を、20日の国営英字紙チャイナ・デーリー(China Daily)が伝えた。

 報告された結果は万里の長城に関するこれまでで最も包括的かつ最新技術を使った研究によるもの。

■塹壕や自然を生かした防壁部分も

 外敵の侵入を防ぐために数世紀にわたって築かれた万里の長城の全長は約5000キロとみなされてきたが今回、8851.8キロにも及ぶことが発見された。防壁のうち実際の壁となっているのが6259.6キロ相当で、さらに359.7キロ相当の塹壕に加え、2232.5キロ分が丘や川といった「自然の防壁」として組み込まれているという。

 中国政府の国家文物局(State Administration of Cultural Heritage)は、全地球測位システム(GPS)と赤外線技術を駆使し、全体の地図化作業に2年を費やした。過去の研究は各部分の実際のマッピングよりも、歴史的記録に主に基づいたものだったが、山岳部や砂漠地帯なども含め徹底的に追跡したことで、これまでに知られていなかった部分が浮き彫りになったという。

■インフラ建設優先で破壊される世界遺産

 一方で、道路建設などのインフラ開発事業や異常気象により、万里の長城の随所が消滅の危機にあることも明らかにされた。
 
 万里の長城のうち一番古い部分は約2000年前に建造された。以後1368年から1644年の明朝(Ming Dynasty)の時代に北方民族の侵入を防ぐために強化、延長された。

 昨今の開発事業では、広範囲で長城を破壊し道路を建設する例などが相次ぎ、問題となっている。

 今回の調査は10か年計画で行われている保全事業の一環で2005年に開始された。長城の詳細が地図化されたことで、保護されるべき部分が明確になり、修復や保全事業の記録もしっかり残せるようになる。(c)AFP