【4月15日 AFP】国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は14日、北朝鮮がIAEAに対するすべての協力を即時停止すると通告し、寧辺(Yongbyon)の核施設にいるIAEA監視要員の国外退去を求めたと発表した。

 監視要員らは、2007年2月の6か国協議の合意事項の一部として兵器級プルトニウムを製造していた施設を監視するため寧辺に駐在していた。

 この数時間前、北朝鮮は国連安全保障理事会(US Security Council)が北朝鮮が5日実施した打ち上げを非難する議長声明を採択したことに反発し、朝鮮半島の非核化を目指す6か国協議から離脱し、核開発計画を再開するとの声明を発表していた。

■各国は協議継続を求める

 ロシアと韓国は北朝鮮の発表に遺憾の意を示した。中国は、北朝鮮と友好的な関係を維持してきたこと、日本などが求めていた安保理決議に反対したことを強調して、北朝鮮に6か国協議にとどまるよう求めた。日本は北朝鮮に6か国協議に復帰するよう強く求めた。

 ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)米国務長官は、IAEA査察官の国外退去は「不必要な対応」で、北朝鮮が協議に復帰することへの期待感を示した。

■瀬戸際外交強化か

 韓国・東国大学(Dongguk University)のキム・ヨンヒュン(Kim Yong-Hyun)教授は、「北朝鮮は掛け金を徐々に上げている。北朝鮮の瀬戸際外交は米国と国際社会から最大限の譲歩を引き出すのが目的だ」と述べ、北朝鮮が軍事的挑発に乗り出す可能性が高まったと指摘する。

 北朝鮮大学院大学(University of North Korean Studies)の梁茂進(ヤン・ムジン、Yang Moo-Jin)教授は、14日の北朝鮮の声明は記憶にある限りこれまでで最も厳しいものだと話す。「この声明は、北朝鮮が行動に向けて動いていると言っている。米国とその同盟国、中国が状況をコントロールするよう賢明な対応をとることが非常に重要だ」

 ある韓国の高官は、北朝鮮は核施設の無能力化作業11段階のうち8段階まで終わらせ、現在は9段階目の使用済み燃料棒を原子炉から取り出し、冷却槽に移動させる作業を行っているが、燃料棒の再処理を再開しプルトニウム抽出を始めるまでどの程度の時間がかかるか分からないと述べた。(c)AFP/Park Chan-Kyong