【3月27日 AFP】コンドームはエイズ(AIDS)対策の解決策とならないとしたローマ法王ベネディクト16世(Pope Benedict XVI)の発言について、英医学専門誌「ランセット(Lancet)」は27日、科学的証拠に基づいた真実をゆがめるものだと批判し、発言の撤回を求めた。

 ランセット誌は、「ベネディクト16世は、カトリック教義を普及させるためにコンドームがエイズ問題を悪化させると発言し、科学的に証明されている事実を公にゆがめた」と、法王の発言を批判した。

 また、「法王の誤った発言は、無知によるものなのか、それともカトリックの信条を擁護するために、意図的に科学的事実の操作を狙ったものかは不明だが、法王の発言は依然として撤回されておらず、これに対する法王庁の対処も結果的に真実をねじ曲げる結果となっている」と論評。

「宗教家であれ、政治家であれ、社会に大きな影響力を持つ人間が、数百万人もの人びとの健康を害しかねない間違った科学的見解を述べた場合には、発言を撤回するか訂正すべきだ。適切な対処がなされなければ、公衆の利益や、精力的にエイズ撲滅に取り組んでいるカトリック教徒らの努力を、大きく損ねるだろう」(ランセット誌)

 ベネディクト16世は17日、カメルーンのヤウンデ(Yaounde)に向かう機内で、エイズ問題について「資金のみで克服することはできない悲劇。コンドームの配布によって克服することもできないし、むしろ問題を悪化させる」と語った。(c)AFP