【3月10日 AFP】(一部訂正、一部更新、写真追加)たくみな話術で複数の女性をだまし、「スイス・ジゴロ」の異名をとる男が9日、ドイツ・ミュンヘン(Munich)の裁判所で、詐欺や脅迫の罪で禁固6年の判決を言い渡された。被害者の中には、ドイツで最も裕福な女性も含まれていた。

 ヘルグ・ズガルビ(Helg Sgarbi)被告(44)は、独自動車大手BMW株を相続し大株主となったスザンネ・クラッテン(Susanne Klatten)さんを含む複数の女性から、総額3億4000万ユーロ(約425億円)以上をだまし取ろうとした罪で起訴されていた。同被告は公判で、罪状をおおむね認めた。

 ズガルビ被告は、クラッテンさんに対し、当初は同情を引くような話を語ったり一緒に暮らすことを約束するなどしていたが、その後、2人のプライベートなビデオ映像を公開すると脅迫していた。

■関係清算後に態度が一変

 クラッテンさんには夫と3人の子どもがいるが、2007年夏ごろにズガルビ被告と知り合い、関係をもつようになった。交際を始めてからしばらくたつと、ズガルビ被告はクラッテンさんに対し、米フロリダ(Florida)州で事故を起こし少女を負傷させてしまったと語り、その賠償金の一部として700万ユーロ(約8億7400万円)を貸してくれるよう求めた。このときはKlattenさんは素直に全額を渡したという。

 その後、ズガルビ被告は、夫と離婚することや今後の生活のために2億9000万ユーロ(約360億円)を信託基金に預けることなどを迫った。クラッテンさんはこれを拒絶し、関係を絶った。すると、同被告の態度は一変し、秘密裏に撮影した2人のプライベートなビデオ映像を公開すると脅迫し、4900万ユーロ(約61億円)を要求した。要求額はその後1400万ユーロ(約17億5000万円)に減額されたものの、クラッテンさんは警察に届けた。

 ズガルビ被告の逮捕をきっかけに、数人が同様の被害を受けたとして届け出てきたという。(c)AFP/Francois Becker