【2月23日 AFP】絶滅したと考えられていたフィリピン・ウズラが、生きたまま初めてカメラにとらえられたが、その姿が見かけられたのは「料理される」寸前、市場でだったという。フィリピン野鳥クラブ(Wild Bird Club of the Philippines)が17日明らかにした。

 同クラブによると、このウズラは「フィリピンヒメミフウズラ(学名:Turnix worcesteri)」で、1月にルソン島(Luzon)カラバロ(Caraballo)山脈で猟師らに捕獲されたという。その後、家禽市場で売られている姿を、テレビスタッフが写真とビデオに収めていた。

 野鳥クラブのMichael Lu会長は、ウズラの発見に「興奮した」としつつも、「この1羽が同じ種の最後の1羽だったかもしれないのに、地元民が生物多様性の価値を軽視していることに悲しみを覚える。種の保全、および希少種の鳥類に関する啓発活動を積極的に進める必要がある」と述べた。

 20世紀初頭にフィリピンで研究に従事した米国人動物学者ディーン・コナン・ウォーセスター(Dean Conant Worcester)氏にちなみ、「ウォーセスターズ・ボタン・クエイル」とも呼ばれるこのウズラは、数十年前に収集された博物館の標本をもとに描かれたスケッチでしか、その姿は知られていなかった。生息地の詳細はいまだ不明だが、ルソン島のコルディレラ(Cordillera)山脈からカラバロ山脈西部にかけてと考えられている。

 このウズラは1902年に首都マニラ(Manila)の生鮮市場で売られていた記録がある以降は、両山脈が位置するヌエバ・ビスカヤ(Nueva Vizcaya)、ベンケット(Benguet)両州で、数羽が確認されているのみだという。(c)AFP