【2月4日 AFP】アスベスト汚染が問題となっていたフランス海軍の退役航空母艦クレマンソー(Clemenceau)号は3日、英国の「幽霊艦隊」造船所とよばれる施設へ向けて、最後の航海を開始した。クレマンソーの解体に対しては、環境活動家が抗議活動を行っているものの、解体は同施設で実施される見通し。

 仏海軍の誇りとして知られた空母クレマンソー、通称「Hull Q790」は、灰色に汚れた船体を8隻の曳航(えいこう)船にけん引され、フランス北西部の軍港ブレスト(Brest)を出航した。

 海域に出た後、クレマンソーは、英国の曳航船「Anglian Earl」に受け渡され、英解体撤去業エイブルUK(Able UK)の操業するイングランド北東部ティーズ(Tees)川河口のリサイクル施設へと向かった。

 エイブルUKは声明で、同戦艦の到着が今週末になると述べ、英国艦艇3隻と米国艦艇4隻と合流し、解体作業に入ると発表した。

 今回の解体作業は、欧州史上最大規模の船舶のリサイクル計画となる。

 第1次世界大戦時のフランスのジョルジュ・クレマンソー(Georges Clemenceau)首相から名前をとった空母クレマンソーは、1997年に退役した。同船は1980年代のレバノン内戦や、91年の湾岸戦争に参戦した。

 しかし、船体に有害物質のアスベストを使用していたため、クレマンソーは、過去5年間にわたって解体の受け入れ先を求めて世界中をけん引されていた。(c)AFP