【1月30日 AFP】スイス・ダボス(Davos)で29日開かれた世界経済フォーラム(World Economic Forum)の年次総会(ダボス会議)で、パレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)へのイスラエル軍の攻撃をめぐる討論の最中に、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)首相がイスラエルのシモン・ペレス(Shimon Peres)大統領と激しい口論となった末、「ダボスには2度と来ない」と捨てぜりふを残して途中退席するハプニングがあった。

 エルドアン首相は、ガザ地区のイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)に対する攻撃を弁護したペレス大統領の演説に、会場の政府関係者や企業重役らが拍手したことを非難。イスラエルはガザ地区に「野蛮な」行為をはたらいたと強く批判した。

 しかし、司会者が時間切れを理由にエルドアン首相の発言を遮ったため、ペレス大統領には25分の発言時間が与えられたのに自分には12分しか与えられなかったと抗議。「発言を認められなかったから、2度とダボス会議には来ない」と宣言して、潘基文(パン・キムン、Ban Ki-moon)国連(UN)事務総長や他の出席者の前を横切って、会場を後にした。

 ペレス大統領はガザ攻撃について、ハマスがイスラエルにロケット弾など数千発を撃ち込んだことで、イスラエルが攻撃せざるを得ない状況に追いやられたとして、「ガザの悲劇は、イスラエルの責任ではなく、ハマスの責任だ。ハマスは独裁体制を生み出した。非常に危険だ」などと主張。さらに、エルドアン首相を指さして、(トルコの)イスタンブール(Istanbul)がロケット弾攻撃の標的となったならば、トルコも同様の行動を取っただろうと述べた。

 トルコのアナトリア(Anatolia)通信は、エルドアン首相とペレス大統領が会議終了後に電話会談し、ペレス大統領が謝罪したと伝えた。またエルドアン首相も同日夜、ダボス会議への今後の出席について再検討する可能性もあると述べている。

 トルコはイスラエルと国交を持つ数少ないイスラム国家で、エルドアン首相は中東情勢の調停役として役割を模索してきた。イスラエルがガザ攻撃に踏み切る直前に、イスラエルとシリアの仲裁に乗り出しており、これに対するユダヤ人団体からの非難に対しては、「わたしは首相就任初日に、反ユダヤ主義が人道に対する罪であると述べたし、それ以前からそう主張している」と反論している。(c)AFP