【1月30日 AFP】オーストラリア・クイーンズランド(Queensland)州政府は29日、同州沿岸のグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)周辺で、汚染物質の排出を規制する方針を明らかにした。州政府によると、周辺海域に農薬や肥料を排出した農家に対し、保護法に基づいて罰金が科されることになる。

 オーストラリア北東に位置するグレートバリアリーフは、34万5000キロ平方メートルの世界最大のサンゴ礁で、世界有数の観光地ともなっているが、有毒物質や気候変動による脅威が年々高まっている。

 アンナ・ブライ(Anna Bligh)クイーンズランド州首相は、「孫たちにもこの自然の素晴らしさを見せたい。孫たちに、これを守るためにできる限りのことはすべてやったと言えるようにしたい」と語った。

 同州では、5年前に導入された自主計画の下で農業における肥料の使用を20%削減したが、ブライ首相はこれらの自主的な措置は十分とはいえず、規制が必要と判断したと説明している。

 グレートバリアリーフでは、海中に流出した土壌、肥料、農薬などにより「長期的な減少」が起きているが、施肥窒素の使用を80%削減すれば、65-70年はグレートバリアリーフの壊滅につながる白化が恒常化するのを引き延ばせるという。排出有害物質の種類や濃度についての規制は、今年6月までに法制化される見通し。

 また、過放牧や森林伐採なども規制され、規制の順守を確実にするため水質の監視も行われる予定で、違反者には罰金が科されるという。

 民間自然保護団体、世界自然保護基金(World Wildlife FundWWF)は前週、最近のサイクロンで、約100万メガリットルの汚染物質がグレートバリアリーフに流れ込んだとの試算を公表した。

 サンゴ礁の成長は1990年以降、著しく減速しているが、地球温暖化による海水温の上昇と酸化が原因だと考えられている。(c)AFP