【1月27日 AFP】今後1000年間、たとえ二酸化炭素(CO2)排出量を今すぐまったくゼロにできても、地球温暖化の大部分は「回復不可能」だとする新たな研究結果を、米海洋大気局(National Oceanic and Atmospheric AdministrationNOAA)などのチームが今週、米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に発表した。

 研究チームは、現在の大気中CO2量385ppmを超えた排出のピークを想定し、そのピークの後に排出がまったくなくなった場合を仮定した。そして地表温度や降雨量、海水位などの変化は「CO2排出が完全になくなってからも1000年以上、元には戻らない」と結論づけた。

 NOAAの上級研究員スーザン・ソロモン(Susan Solomon)氏は、人類が現在CO2排出についてどんな選択をしても、地球の変化を逆転させることは不可能だと述べている。大気中CO2量は産業革命以前はわずか280ppmだった。

 研究者たちは、2000年から2100年の間に起こる大気中CO2の増加によって、その次の1000年間に起こる海面上昇はすでに「確定」されてしまっていると強調した。また「多くの沿岸部や島しょ地域が海面下に沈むため、(海面上昇は)地球の地理の将来的変化を不可逆にする」と指摘している。さらに降雨量の減少が数世紀にわたって続き、飲料水の供給減や野火の増加、生態系の変化や砂漠の拡大といった地域的影響が現れるだろうとも予測した。(c)AFP