【1月9日 AFP】沖縄県宮古島沖で転覆した漁船から海に落ち救命胴衣を着けずに15時間も荒波のなか立ち泳ぎを続けた男性が6日、無事救助された。

 海上保安署によると名城敏幸(Toshiyuki Nashiro)さん(55)は5日午後、1人でイカ釣り漁に出たが大波を受けて船が転覆し海に投げ出された。夜になっても名城さんが戻らないことから、心配した家族が海上保安署に連絡した。

 名城さんは救命胴衣を身に着けずに6日午前に海上保安署員に救助されるまでの15時間、両手だけを使った立ち泳ぎで波間を漂い続けていた。名城さんは潜水病の影響で支えなしには数メートルしか歩くことができないという。

 救助された名城さんは、「家族の顔を思い浮かべて泳ぎ続けた。救助が来ると信じていたので怖くはなかった」とビールを飲みながらリラックスした様子で語った。ずっと海を見ていたために目が痛くなり、目を開け続けるのが最も辛いことだったという。

 仲間の漁師は、テレビの取材に対し、「転覆した船を見つけた時も心配はしなかった。名城さんは無事だとわかっていたから」と語った。

 名城さんを救助した海上保安署員も名城さんが長時間耐え抜いたことに驚きを隠さない。AFPの取材に応じた海上保安署員によると、名城さんは両腕を小刻みに動かし泳ぎ続け、パニックにはまったく陥らなかったという。(c)AFP