【12月29日 AFP】パキスタン北西部の学校で28日、自爆テロと見られる自動車爆弾の爆発があり、36人が死亡、15人が負傷した。

 警察によると、爆発が起きたのはパキスタン北西部の北西辺境州(North West Frontier Province)ブネル(Buner)地区の学校で、事件当時は下院補欠選挙の投票が行われていた。犯人は自動車に積んだ爆弾を校舎の壁のそばで爆発させたとみられている。

 負傷者のうち7人は重体で、北西辺境州の州都ペシャワル(Peshawar)の病院に搬送された。
 
 AFPが取材した地元の警察官によると爆発は非常に強力で、校舎が「完全に破壊された」ほか、近隣の住宅などにも大きな被害が出たという。死亡者の中には近くの市場で、崩壊した屋根の下敷きになって亡くなった人もいるという。犠牲者には警察官2人も含まれていた。

 警察は学校の外で自動車の破片多数を発見したが、現場付近には遺体の破片が散乱していたため、犯人が1人だったのか現時点で断定できないという。爆発物処理班が破片の中から証拠になるものを捜しているが、分析にはまだ時間がかかる見込み。

 夜になっても生存者の捜索は続いている。目撃者によれば、住民も捜索に加わり、シャベルや素手で残骸を取り除いているという。この爆発でこの日の投票は取りやめられた。

■治安の改善見られぬパキスタン北西部

 パキスタン軍はブネル地区に隣接するスワト(Swat)地区で同国の旧支配勢力タリバン(Taliban)系の武装勢力の掃討作戦を1年以上にわたって続けている。

「パキスタンのスイス」と呼ばれるスワト渓谷(Swat Valley)は、同国唯一のスキー場でも知られ、かつては国内外から訪れた多数の観光客で賑わっていた。

 しかし、タリバンと関係がある急進的な宗教指導者マウラナ・ファズルラ(Maulana Fazlullah)師がイスラム法の導入を目指す運動を始めて以来、この地域の治安は急激に悪化した。ファズルラ師は私設のFMラジオ局「ムラー・ラジオ(Mullah Radio)」で、激しい言葉遣いで自分の見解を広める説教をしていることでも知られている。

 パキスタン軍は前年11月にファズルラ師の信奉者をこの地域から放逐するため大規模な作戦を開始した。陸軍は今年に入りスワト地区での反タリバン攻勢を一旦は強めたが、その後、作戦の規模を縮小していた。

 さらに、パキスタン政府は、前月発生したインド・ムンバイ(Mumbai)での同時多発攻撃後に印パ関係が緊張したことを受け、一部の軍部隊をタリバンやアルカイダ(Al-Qaeda)系の武装勢力との戦闘が続く北西部からインドとの国境地帯に移動させている。

 しかし、パキスタンの複数の新聞は28日、同国政府はインドとの緊張が高まるにまかせ、スワト渓谷や隣接する部族地域での過激派との戦いをおろそかにしていると批判的に報じた。

 英字紙ドーン(Dawn)は「パキスタンには『荒野の西部』を荒廃するに任せて、相当数の軍部隊を東部のインド国境付近に配備する余裕はないはずだ。西部こそ、世界最高の諜報機関が、過激派の武装勢力が隠れてあちこちの目標を攻撃する計画を立てていると言い立てている地域なのではないか?」とする社説を掲載した。(c)AFP/Saad Khan