【12月18日 AFP】メタリカ(Metallica)、モーターヘッド(Motorhead)、メガデス(Megadeth)など、ヘビーメタルの音楽でおなじみの激しい首振り、いわゆる「ヘッドバンギング」は健康を損ねる可能性がある――。ヘビメタファンにとっては気になるこんな研究結果が、18日の英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(British Medical JournalBMJ)」に掲載された。

 この研究を行ったのは、シドニー(Sydney)のニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)のデクラン・パットン(Declan Patton)氏とアンドリュー・マッキントッシュ(Andrew McIntosh)氏。

 2人は実際のヘッドバンギングを観察するためヘビーメタルバンドのコンサート会場に足を運び、生体力学的な分析を実施、「ヘッドバンギングの理論モデル」を構築した。その結果、電気ショックを受けたウサギのように頭を振る動きは、むち打ちと同様の影響があることが判明。デスメタルのリズムは一般に1分間146ビート以上だが、これに合わせて45度以上の角度でヘッドバンギングを行えば、頭部と首に軽度の障害を与えることが予想されるという。

 過去の事例から、健康障害を引き起こす可能性があることも分かっている。たとえば、米ロックバンドのエヴァネッセンス(Evanescence)のギタリスト、テリー・バルサモ(Terry Balsamo)が2005年に脳卒中で倒れた原因はヘッドバンギングだと、専門家らはみている。

 では、ヘビメタファンはどうすればよいのか?

   「ヘッドバンギングの際に首を固定するものを装着するといい」と、パットン氏らは冗談半分に言う。「あるいは、マイケル・ボルトン(Michael Bolton)、セリーヌ・ディオン(Celine Dion)、エンヤ(Enya)、リチャード・クレイダーマン(Richard Clayderman)の音楽しか聞かないという方法もある」

 ただ、どうしてもスローテンポの曲よりウルトラ・ボミット(Ultra Vomit)などのバンドがききたいと言う10代の少年少女には、具体的な対処方法もあるそうだ。研究報告には、ヘッドバンギングで知られる米アニメ『ビーバス・アンド・バットヘッド(Beavis and Butt-head)』に、ヘッドバンギングの理論モデルを適用して説明されている。

 ビーバスとバットヘッドは、ラモーンズ(The Ramones)の1分間164ビートの曲「I Wanna Be Sedated」に合わせて踊るが、ビーバスが頭を降る角度は45度まで、バットヘッドは75度までとした場合、バットヘッドには頭痛と目まいというレベル1の健康障害が出る可能性があるが、ビーバスには影響はないはずだという。(c)AFP