【12月8日 AFP】新たな世界大恐慌を防ぐことのできる唯一の方法は、1930年代の世界大恐慌と最近の経済危機で得た教訓だ――。2008年のノーベル経済学賞(Nobel Economics Prize)を受賞する米プリンストン大学(Princeton University)のポール・クルーグマン(Paul Krugman)教授は7日、授賞式の行われるスウェーデン・ストックホルム(Stockholm)で記者会見を行い、米国初の金融危機についてこのように語った。

 クルーグマン氏は、「われわれが世界大恐慌を経験していなかったとしても、いつかは経験するものだっただろう。だが、実際に世界大恐慌を経験し、その原因について多少なりとも経済学的分析が行われたという事実は、再び大恐慌をくり返さないための希望を与えてくれる」と述べた。

 また、米国は90年代の日本の不況に学ぶべきだと主張。「日本に感謝する必要があると考える。経済危機が起こりうるという現実と、その際にどういった政策が効果的で、何が効果的でないかを示してくれたからだ。90年代の日本の経験とは、政府の財政出動が、根本的な解決にはならないまでも経済にかかる圧力をかなり軽減したということだ」と語った。

 クルーグマン氏は、不振にあえぐ米経済の活性化策の1つとして、インフラ整備や公共事業への積極的な財政出動を支持していることで知られ、コラムニストとして執筆する米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙の自身のコラムで、バラク・オバマ(Barack Obama)次期米大統領の政策が、米経済の低迷に終止符を打つには不十分なものとなる可能性を警告している。

 クルーグマン氏は「米経済が悪化するスピードを考慮した場合、経済対策がどれほど早急に実施されるかが非常に懸念される」と述べ、財政出動こそが「実際にわれわれが取れる唯一の行動だ。今は危機的な状況で、支援が必要な時だ。民間部門は自らを支援することはできない」と強調した。

 一方で、米自動車大手3社(ビッグスリー)の救済には懐疑的な見方を示し、「非常に厳しい景気後退局面にあって、自動車業界の失敗(に対する責任)を認める意志がまったく感じられない。最終的には、こうした企業は恐らく淘汰(とうた)されるだろう」と厳しく指摘した。(c)AFP/Nina Larson