【11月23日 AFP】理論物理学者アルバート・アインシュタイン(Albert Einstein)が1905年に発表した特殊相対性理論の有名な関係式「E=mc²」が、1世紀余りの後、フランス、ドイツ、ハンガリーの物理学者のチームが行ったコンピューターによる演算の結果、ついに証明された。

 仏理論物理学センター(Centre for Theoretical Physics)のLaurent Lellouch氏率いる物理学の合同チームは、世界最高性能のスーパーコンピューター数台を使って、原子核を構成する陽子と中性子の質量を算出した。

 素粒子物理学では一般的に、陽子と中性子は、クォークと呼ばれるより小さな粒子で構成されていると考えられている。さらに、クォークはグルーオンと呼ばれる粒子で結びつけられている。

 不思議なのは、グルーオンの質量はゼロ、クオークの質量は全体の5%しかなく、残りの95%はどこにあるのかということだ。

 21日の米科学誌「サイエンス(Science)」で発表された研究結果によると、その答えは、クォークとグルーオンの動きや相互作用によって発生するエネルギーにあるという。つまり、特殊相対性理論でアインシュタインが提唱したとおり、エネルギーと質量は等しいということになる。

 関係式「E=mc²」は、質量がエネルギーに、エネルギーが質量に変わることを示すもので、一定の質量がエネルギーに変わる際に放出されるエネルギー量を割り出すために、これまでに何度も利用されてきた。最も有名なのは、核兵開発のヒントとなる基本的な考え方となったことだ。

 しかし、量子色力学の理論を用いて素粒子レベルで「E=mc²」を解くのは、非常に難しいとされてきた。

 フランス国立科学研究センター(National Centre for Scientific ResearchCNRS)はプレスリリースで、「この関係式はこれまでは仮説だったが、今回、世界で初めて実証された」と自信を持って発表した。(c)AFP

参考リンク:フランス国立科学研究センターのプレスリリース(フランス語)