【11月18日 AFP】オーストラリア各地で、猛毒をもつ外来種のオオヒキガエルが大繁殖し、これを食べたオーストラリアワニが大量に死亡しているという。同国のチャールズ・ダーウィン大学(Charles Darwin University)のキース・クリスチャン(Keith Christian)教授が18日に発表した研究報告の中で明らかになった。

 同教授によると、頭部に猛毒を持つこのオオヒキガエルによって、北部特別地域(Northern Territory、準州)のいくつかの川では、オーストラリアワニは半数以下にまで激減しているという。

 同教授は「過去1年間にヴィクトリア川(Victoria River)で行った調査の結果、この川に生息するワニのうち最大77%がこのオオヒキガエルを食べたことによって死亡していることが明らかになった」と語る。

■外来種はどこから?

 このオオヒキガエルは1935年、オーストラリア北東部のサトウキビ畑の害虫駆除を目的として、原産地の中南米からオーストラリアに持ち込まれたが、ほかの外来種と同様にやっかいな存在となった。爆発的に繁殖し、またたく間に同国西部にも拡大していったのだ。このオオヒキガエルのもつ毒は非常に強力で、捕食者を数分のうちに殺してしまうという。

 クリスチャン教授によると、ワニの死亡率は深刻なほど高く、種としての生存に関わる可能性があるという。同教授は「このような状態が何年も続けば、ワニの個体数は持ちこたえることはできない。これは、成長して繁殖能力をもつまでに時間がかかるワニのような種にとっては特に深刻だ」と指摘する。

■びっくりするような駆除方法も

 オオヒキガエルの西部への拡大を食い止める取り組みはことごとく失敗に終わっており、世界遺産にも登録されているカカドゥ国立公園(Kakadu National Park)の湿地帯でも繁殖が拡大している。

 ある地方自治体が前年、オオヒキガエルを使ったゴルフを考案し、動物保護団体の怒りを買うといった騒ぎも起きている。

 英国動物虐待防止協会(Royal Society for the Prevention of Cruelty to AnimalsRSPCA)は、ゴルフクラブで叩き殺すのではない「最も優れた」方法を提案している。それはオオヒキガエルを冷蔵庫に入れることだという。オオヒキガエルを冷蔵庫に入れると、こん睡状態に陥るため、そのまま冷凍庫に移動させれば安楽死させることができるという。(c)AFP