【10月9日 AFP】オーストラリア・タスマニア島(Tasmania)の南方約200キロの海底で、数百種類にのぼる新種の海洋生物が発見された。これまで知られていなかった山脈や渓谷も見つかっている。豪州連邦科学産業研究機構(Australian Commonwealth Scientific and Research OrganisationCSIRO)の科学者チームが8日発表した。

 この海域では、2006年11月と2007年4月に新型のソーナーを使った調査が行われ、海底のサンプリングや撮影されたビデオの分析が行われた。その結果、海底3000メートルの死火山付近で、魚、古代のヒトデ、軟体動物、甲殻類、海綿動物の新種が合計274種発見された。

 タスマニア島のホバート(Hobart)で会見したCSIROのケイト・ウィルソン(Kate Wilson)氏によると、調査で確認された種のうち、40%以上が新種だったという。「世界の深い海底の実態よりも、火星の表面の実態の方がよく知られていると言えるのではないか」と、ウィルソン氏は語った。

■「海底の熱帯雨林」が深海生物にすみかを提供

 調査では、最高高度が500メートルの合計123の山塊と、グランドキャニオンよりも規模の大きい渓谷も新たに発見された。山はさながら「海底の熱帯雨林」の様相を呈し、数千種類にものぼる深海生物にすみかを提供していた。このように深海に多くの生物が生息するのは珍しいことだ。

 また、南洋の冷たい海底では、生物の生長速度が極めて遅い。例えばそこに生息するサンゴは、2メートル生長するのに300年を要する。そのため2000年前から生息しているサンゴなど、年代の極めて古い生物を目にすることもあるという。

 科学者チームによると、オーストラリアの海域ではごく限られた範囲でしか調査が行われていないため、深海に全部でどれくらいの種がいるのかは不明だ。そのため、海底の生物多様性についてはまだ推測の域を出ない。(c)AFP