【10月6日 AFP】(写真追加)世界の哺乳(ほにゅう)類の半分の種で個体数が減少している上、三分の一以上の種は絶滅の危機にも瀕している。スペインのバルセロナ(Barcelona)で開催中の世界自然保護会議(World Conservation Congress)で6日発表された、絶滅危ぐ種を示す「レッドリスト(Red List)」の今年度版で、このような調査結果が明らかになった。

 国際自然保護連合(International Union for Conservation of NatureIUCN)が毎年発表する同リストは生物保護の指標とされ、動植物4万4000種以上をカバーしているが今回、データが確認されている哺乳類5487種のうち実に四分の一に明白な絶滅の危機が迫っていることが示された。

 しかし、存在は知られているもののデータがない836種の哺乳類については危機レベルを分類できないことから、実際の状況はさらに深刻だろうと科学者らは懸念している。

 哺乳類についての調査の主執筆者であるIUCNの研究員ジャン・シッパー(Jan Schipper)氏は、米科学誌『サイエンス(Science)』に「実際には危機にある哺乳類は36%程度に上るだろう」と語った。報告書によれば最も絶滅の危険高い哺乳類は霊長類と、クジラやイルカ、ネズミイルカなどの海洋哺乳類だという。
 
 専門家たちの多くは最新のレッドリストについて、地球が65万年前の恐竜の絶滅以後としては最大規模の絶滅の波に直面している証拠だと評した。過去5億年の間に大量絶滅が起こった時期はわずか5回とされている。

 生物種の絶滅を加速させる要素は数多くあるが、どれも直接的にせよ間接的にせよ人間の活動に起因しているという。特に、人間による捕獲と公害汚染による生物たちの生息環境の損失は著しく大きな脅威となっている。また、気候変動の脅威も大きくなりつつある。(c)AFP/Marlowe Hood