【10月2日 AFP】ネパールで新たに政権を握った共産党毛沢東主義派はこのほど、首都カトマンズ(Kathmandu)に増え続けるマッサージ・パーラーやヌードダンス・バーが犯罪や不道徳の温床になっているとして、風俗店の取り締まりを強化すると宣言した。

 政府軍と毛派の内戦中は都市部に治安部隊が配備され、住民の多くはより安全だと感じていた。しかし2006年の毛派の闘争放棄以来、都市部では政情不安や手薄な警備に乗じて誘拐や強盗、殺傷事件が多発している。

 活動家によると、性産業の興隆で人身売買や少女の性的搾取(さくしゅ)、エイズの感染が増加しているという。

 カトマンズの観光地タメル(Thamel)は赤線地帯に姿を変えた。貧困民や非搾取者の味方を自称する毛派にとっては悪い知らせだ。

 タメルの住民グループがこのほど地元紙に掲載した文書は、「タメルは旅行者や住民への売春や詐欺などを唯一の目的とする犯罪集団らの手に落ちてしまった」と嘆き、「タメルの住民は、内務省とネパール政府に対し、暴力や強盗、公然と行われる売春を取り締まるための思い切った措置を取ることを心から感謝する」と結ばれている。

 そして実際に措置が取られた。ある夜に記者が行ってみると、午後10時半には通りには人通りがなくなり、警察官が巡回し、歓楽街の店舗を閉店させ客を追い散らしていた。

 しかし、飲食店経営者は、合法的な娯楽産業と性産業を一緒くたに取り締まることで、ネパールの主要収入源である外国人旅行客にも影響を与えるのではないかと懸念している。(c)AFP/Sam Taylor