【10月1日 AFP】暑さとほこりに支配されたアフガニスタンの首都カブール(Kabul)に、緑の島が出現した。干ばつと戦争で荒れ果てていたペルシア様式の庭園「バブールの庭」に、数年ぶりに花が咲き始めたのだ。

 イスラム教イスマイル派指導者で富豪のアーガー・ハーン(Aga Khan)氏の財団「アーガー・ハーン・トラスト・フォー・カルチャー(Aga Khan Trust for Culture)」が2002年から修復を手掛けてきた。敷地総面積は11ヘクタール以上で、市内最大の公園だ。

 芝生や木影では、家族連れや若者たちがピクニックを楽しむ。休日に当たる金曜日には多くの市民が訪れる。ただし、入園料は必要だ。夏季には毎月5-6万人が訪れるという。

 この庭園は16世紀初頭、ムガール王朝(Mughal Empire)の創始者バブール(Zahiruddin Muhammad Babur)が建設した。バブールは1530年にインドで死去したが、遺体はこの庭園にある小さなモスクの後ろに埋葬された。モスクも修復されたが、内戦当時の弾痕が残っている。

 財団のアフガニスタン支部責任者のジョリオン・レスリー(Jolyon Leslie)氏は、悲劇と戦争にほんろうされたこの国で、庭の修復に多額の予算をつぎ込むことに理解を得るのは難しかったと言う。そのため財団は、この事業が雇用を創出することを強調した。

 アーガー・ハーン氏とドイツ政府が出資した総工費約500万ドル(約5億円)のうち、100万ドルは、地元民を中心とした労働者の人件費に充てられた。  守衛の1人は「樹齢300年の木が並んでいた昔とはもちろん違うが、また育つさ」と話した。(c)AFP/Francis Curta