【9月29日 AFP】前週、都内で開かれたファッションショーでは、通常のファッションショーと同じような光景が見られた――ただある1点を除いて。1980年代の英米のロックミュージックなどに合わせ、さっそうと歩くモデルたちが黒のストッキングの上に着用していたのは、大人用おむつだった。

 このショーは、約170種類の大人用おむつや尿パッドを紹介するために、高齢者のための排せつケアなどの情報提供を行っている京都市の団体「むつき庵(Mutsukian)」が企画したもの。ショーは、約70人のボランティアが参加し、おむつメーカーの支援も受けている。

 このショーは、観客たち―介護師や看護師、自分用に大人用おむつの情報を求める人びと―に対し、ある1つのシンプルな真実を突きつける。それは「ほとんどの人が、人生の最初と最後をおむつの中でむかえる」ということだ。

 ショーの開始に先立ち、主催者側の1人は「どんなに裕福でも、どんなに社会的地位が高くても、たいていの人は、自分の排せつ物の面倒を見てくれる人をゆくゆくは必要とします」と語った。

 厚生労働省の暫定的なデータによると、今年1月末の段階で、約434万人の高齢者が日常生活で介護を必要としており、これは6年前に比べ50%も増加していることになるという。

 65歳以上の高齢者が人口の5分の1以上を占める日本では、大人用おむつの種類は少なくとも400種類に上るという。業界大手のユニ・チャーム(Unicharm)によると、日本の使い捨て大人用おむつ市場は、推定で年間1100億円規模だという。

 むつき庵では、適切なおむつのアドバイスなどを行う「おむつフィッター」の資格の研修や認定なども行っている。(c)AFP/Miwa Suzuki