【9月23日 AFP】手足の指は、3億8000万年前に海を回遊していた魚類に初めて発生したとする論文が、21日発行の英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。

 初めて指を供えた生物は、その1000万-2000万年後に海から上陸した四肢動物に近いデボン紀の魚類、ティクタアリク(Tiktaalik)だというのが、これまでの定説だった。

 これに対し、スウェーデンのウプサラ大学(Uppsala University)の研究グループは、四肢動物よりも魚類に近いデボン紀のパンデリクティス(Panderichthys、体長約1メートル)のヒレの内部に原始の指が備わっていたことを、化石の調査により明らかにした。「手足はヒレの部分に新しく生えたのではなく、ヒレの骨格の一部が形を変えただけのものであることが判明した」と、研究員のPer Ahlberg氏は言う。

 パンデリクティスの化石は最近発見されたものではないが、パンデリクティスの良好な標本がすべてラトビアの採石場で採取されたものであり、化石がこの土壌とほぼ同色であることが、これまでヒレの微細な骨格が見過ごされてきた原因だという。

 ティクタアリクは魚のようなヒレを持っていたことから、原始の指は陸地へ上がる前ではなく順応過程で出現したとされてきた。ところが、遺伝学における最新の研究で、原始の指がティクタアリクよりもはるかに早い段階で発生した可能性があることが分かった。そこで、研究グループはパンデリクティスの化石を病院のCTスキャンで調査を行った。すると、ヒレの先端に、短くて太い4本の指のような骨が放射状に伸びている様子がくっきりと映し出された。関節はなく短いものだったが、指の骨であることに間違いはないという。「四肢動物の祖先に既に指が備わっていたことを解き明かす重要な発見だ」と、研究を主導したCatherine Boisvert氏は話している。(c)AFP/Marlowe Hood