【9月20日 AFP】(写真追加、一部更新)パキスタンの首都イスラマバード(Islamabad)のマリオットホテル(Marriott Hotel)で20日夜、自動車爆弾による大きな爆発があり、治安部隊高官によると少なくとも60人が死亡、約200人が負傷した。

 爆発音は非常に大きく、かなり離れた場所まで聞こえた。爆発直後、現地のテレビは火の手があがったマリオットホテルから血を流して出てくる負傷者や、現場に急行する多数の救急車の映像を放送した。現場近くに止まっていた車はガラスが割れるなど、大きく破損していた。

 目撃者によるとマリオットホテル近くの建物のガラスも割れていたという。爆発は非常に強力で、1キロ離れた場所でも建物のガラスが割れた。警察によると、マリオットホテルの内部に大勢の人が取り残されているという。またホテルが倒壊する恐れもあるという。

 マリオットホテルは外国人が多く利用する高級ホテルで、イスラマバード市内では最も厳重に警備された場所の1つだった。

 複数の警察官が爆弾を積んだ自動車によるものだと語っているが、自爆だったかは分かっていない。

■新大統領の重い課題

 20日、爆発が起きる数時間前、パキスタンのアシフ・アリ・ザルダリ(Asif Ali Zardari)大統領は就任後初めて議会で演説をした。武装勢力はパキスタン北西部で活動を活発化させ、警備が厳重な首都イスラマバードへの攻勢も強めており、ザルダリ氏は就任早々イスラム武装勢力への対応を迫られる。

 事件後ザルダリ大統領はテレビ演説で、「テロはパキスタンのがんだ。われわれはこの国からがんを取り除く決意がある」「われわれは死を恐れない」などと語った。

 ザルダリ大統領は、来週の国連(UN)総会に合わせ米ニューヨーク(New York)を訪れ、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領と会談する予定だが、訪米が予定通り行われるかはわかっていない。

 ブッシュ政権は、イスラム武装勢力タリバン(Taliban)やアルカイダ(Al-Qaeda)系の武装勢力が、アフガニスタンとの国境に近いパキスタン領内を拠点にしてアフガニスタンを攻撃していると非難している。

 武装勢力の問題は米政府にとって主要な問題になりつつあり、非公式な場で、パキスタン指導部は武装勢力掃討のための十分な努力を払っていないと語る米政府高官は少なくない。

 しかし、米軍がパキスタン領内の武装勢力を直接攻撃し、3日には米軍がパキスタン領内で地上部隊による軍事行動を行ったことで、パキスタンの対米感情は急速に悪化している。(c)AFP/Emmanuel Giroud