【9月13日 AFP】米国の核兵器開発に関する機密情報を旧ソ連へ漏えいしたとする1951年のローゼンバーグ(Rosenberg)事件で、スパイ罪で有罪となり、有名なアルカトラス刑務所(Alcatraz Prison)などで計18年以上服役したモートン・ソベル(Morton Sobell)元受刑者(91)が、事件から半世紀以上たってようやくスパイの事実を認めた。米ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙が12日掲載した同氏とのインタビューで明らかとなった。

 ソベル氏はこれまで一貫して無罪を主張してきたが、同紙とのインタビューでは、当時対ナチスドイツで同盟関係にあったソ連に防衛兵器の情報を渡しただけだと正当化しつつ、スパイを行っていたことを認めた。

 この事件では、新たに公開された資料で判決への疑問が浮上している。スパイ罪で有罪となり死刑判決を受けたジュリアス・ローゼンバーグ(Julius Rosenberg)とエセル・ローゼンバーグ(Ethel Rosenberg)の夫妻は1953年に処刑された。

 だが、活動家や歴史家らがエセルは冤罪(えんざい)だったとして訴訟を起こしていた。米国立公文書館は11日、夫妻の裁判に先立って提出された大陪審の940ページに上る証拠を公開した。

 裁判で鍵となったのは、エセルの義理のきょうだいだったデビッド・グリーングラス(David Greenglass)とルース・グリーングラス(Ruth Greenglass)の証言だった。2人はデビッドがロスアラモス(Los Alamos)の核兵器研究施設から盗んだ機密情報をエセルがタイプしたと証言し、エセルがスパイ活動に直接関与していたと主張した。

 一方、公判前の大陪審での証言記録によると、エセルがタイプしたとルースが証言したことは一度もなく、むしろルースが自分自身で機密情報を手書きしたと証言していた。手書きされた情報はその後ジュリアスに渡され、彼がソ連に情報を提供した。

 大陪審の記録公開を求めていた団体の1つ、非営利の独立調査機関「National Security Archive」は、大陪審の記録はエセルに対する中心的な起訴事実と完全に矛盾し、エセルが無罪であることを強く示唆していると主張する。しかしニューヨーク・タイムズ紙は、大陪審での証言記録は、エセルが少なくともスパイ行為に気づいていたことをうかがわせると指摘した。(c)AFP